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教育用ソフトの開発方針
コンピュータで、学校の先生のように解説をしようとするソフトがあります。いわゆるCAIというタイプです。
私もCAI学会(現 教育システム情報学会)に所属しており、評議員という肩書きを戴いていました。学校の先生用の講習会を実施したり、粗悪な市販ソフトが多いことが新聞やテレビで問題になったので、「開発者のための、チェックリスト」などを作成し発表しました。
ただ残念なことに、研究者の方々が考えていたCAIというものは、開発にお金がかかるわりには、効果が少ないというものでした。そのためにCAIそのものの評判が悪くなり、現在ではCAIという言葉がほとんど使われなくなっています。
当時は、コンピュータそのものの性能も劣り、画面に図を書く程度でもプログラムが必要でしたので、あまり教材としては見栄えがしなかったと思います。
その後、「マルチメディア」がブームになり、当然教育への応用も期待されました。「エデュテイメント」など、教育と娯楽を融合させたソフトなども次々と発売されましたが、結局CD-ROMの発売について景気の良い話はあまり聞かれなかったようです。
私は、実際に現場の教員(都立高校)をしていましたので、「先生のように説明するソフト」については、初めから興味がありませんでした。人間の先生だって多くの生徒を教えるのは大変ですから、コンピュータのほうがもっと大変だと思います。むしろ、今の子供たちは、「どの問題を理解して、どの問題が分かっていないか分からない。」と感じていたので、それを自分でチェックできるプログラムの方が必要だと考えていました。
それで、「コンピュータが問題を作り、生徒に解かせる。」といういわゆるドリル型のソフトを作っていました。当時は共通1次試験の時だったので、その類似問題をどんどんコンピュータに作らせて解かせていました。同じことを何度も繰り返すのはコンピュータのほうが得意だからです。
その後パソコンの普及とともに、多くの学校で、熱心な先生方がBASICで自作プログラムを作り始めました。私と全く同じ考えでコンピュータを活用したいと考えたのだと思います。
ただ、当時の教育工学関係の先生方、文部省、教育委員会、通産省、マスコミなどでは、「ドリルソフトはだめ!」という一言で、なかなか我々の活動が認められませんでした。
学校の事務室に、「授業を理解できなかった生徒に対して補習をしたいので、パソコンを購入して欲しい。」と申請したら、「そのような生徒が出ないように、正規の授業をちゃんとやってください。」と言われました。
また、他校の先生方に「一緒にソフトを作りましょう。」と声をかけたところ、「そんなことしていても、教頭や校長にはなれない。」と断られたことがありました。
自費でパソコンを購入し、学校で使っていましたら、「私物を学校に持ち込んではいけません。都から監査のときは隠してください」と言われたこともありました。
幸い、私が勤めていた学校の中には協力者が多くて助かりました。放課後にコンピュータを使って補習をすることに反対する人はいませんでした。学校によっては、ある先生が新しいことをしようとすると、必ず同僚から邪魔をされるということを知っていたので、私にも作戦がありました。補習をする対象は、私が授業をしているクラス(8クラスのうち2クラス)の生徒だけでなく、全8クラスの生徒を面倒をみることにしました。あの先生は放課後に補習をしてくれるのに、私の先生は何もしてくれないというクレームが父兄から寄せられると、その担任や校長・教頭からブレーキがかかる恐れがあるからです。
全員の面倒は見られないので、学年の一斉テストで、ある得点以下の生徒を対象としていました。と言っても、生徒はコンピュータを使って自習しているだけで、私は傍についている必要はありません。職員会議に出ることもできます。その代わり、必ず、各自のノートを作ってもらって放課後の学習がわかるようにしました。私は、生徒が帰った後にノートの添削をして、次の勉強する内容を指示するだけです。その交換ノートには、勉強以外の感想が書かれていることもあります。
面白かったのは、いわゆる落ちこぼれと思われた生徒の成績が良くなると、中間層の生徒もあせって自分で勉強をするようになり、彼らも成績が上がり始めました。そうすると、上位層も危機感を感じて勉強を始めたのです。私が面倒を見たのは一部の生徒だけですが、学年全体の成績を押し上げることになりました。
なぜ落ちこぼれの生徒たちの成績が良くなったかと言うと、私のソフトや添削指導が優れていたというわけではありません。生徒たちが、自分たちの間で本当の勉強の仕方を見つけはじめたのです。
学校において、普通のCAIが効果が薄いのは、問題が共通なために誰かに答えを知られるとすぐにカンニングされるからです。
私のソフトは、同じ問題でも、基本的にはコンピュータから出される数字が違います。自分に出される問題は、自分で解かなければならないのです。放課後の学習はテストではありませんから、数人で相談しながら問題を解いていました。一人が何となく解き方が分かり、コンピュータから正解であることを知らされても自信はない。すると別に人の説明し、その生徒が同様に解いてみて正解だとわかると、お互いに喜んでいたのです。私が解き方を説明するより、同じレベルの生徒同士での情報交換が非常に有効でした。
パソコンの普及に伴い、各メーカーから、「学校にたくさんのパソコンを寄付するから、先生に使って欲しい。」という要請が来るようになりました。当時はパソコンはメーカーごとにソフトが異なり、ソフトの有無によってパソコンの売れ行きに影響があったのです。パソコンのメーカーのためにソフトを作るのは不本意なので、学校の先生を辞めることにしました。
それで作ったのが、この会社です。実質的な社員は、当時から私一人です。
他社は、文部省などからお金が出そうなソフト・学校で買ってもらえそうなソフトを開発するようになりましたが、それでも学校でのコンピュータ利用は進みませんでしたね。
インターネットが普及しはじめましたので、100校プロジェクトなどで、とにかく、学校でのコンピュータは使い始められるようになりました。
しかし、多くの人が心配しているように、子供たちの基礎力は低下する一方ではないでしょうか。学校でコンピュータを教えるのも結構ですが、今まで通りの基本的な内容もしっかり教えて欲しいと思います。
私が作っているソフトは、コンピュータの乱数を用いてたくさんの問題を作らせるものです。一斉授業に利用すると大変です。子供たちに与えられる問題は、基本的に全部違いますから、分からない子供たちがいると、先生も一緒に解かないといけません。(グループ学習ならやりやすいかもしれません。)
もともと教育ソフトというものは、個別指導に利用すると効果的だと思います。コンピュータが導入されている学校でも、先生方は今まで通りの授業をされて、放課後等で活用すると良いと思います。
私には不必要と思われるゲーム性はほとんど入れていません。そのため、非常に小さなモジュールで教材を作成してきました。指導要領が変わっても対応には時間がかかりませんし、インターネットへの移植は比較的簡単ではないかと思っています。
今後は、Javaなどで開発したソフトを無料で公開できるようにするつもりでいます
私もCAI学会(現 教育システム情報学会)に所属しており、評議員という肩書きを戴いていました。学校の先生用の講習会を実施したり、粗悪な市販ソフトが多いことが新聞やテレビで問題になったので、「開発者のための、チェックリスト」などを作成し発表しました。
ただ残念なことに、研究者の方々が考えていたCAIというものは、開発にお金がかかるわりには、効果が少ないというものでした。そのためにCAIそのものの評判が悪くなり、現在ではCAIという言葉がほとんど使われなくなっています。
当時は、コンピュータそのものの性能も劣り、画面に図を書く程度でもプログラムが必要でしたので、あまり教材としては見栄えがしなかったと思います。
その後、「マルチメディア」がブームになり、当然教育への応用も期待されました。「エデュテイメント」など、教育と娯楽を融合させたソフトなども次々と発売されましたが、結局CD-ROMの発売について景気の良い話はあまり聞かれなかったようです。
私は、実際に現場の教員(都立高校)をしていましたので、「先生のように説明するソフト」については、初めから興味がありませんでした。人間の先生だって多くの生徒を教えるのは大変ですから、コンピュータのほうがもっと大変だと思います。むしろ、今の子供たちは、「どの問題を理解して、どの問題が分かっていないか分からない。」と感じていたので、それを自分でチェックできるプログラムの方が必要だと考えていました。
それで、「コンピュータが問題を作り、生徒に解かせる。」といういわゆるドリル型のソフトを作っていました。当時は共通1次試験の時だったので、その類似問題をどんどんコンピュータに作らせて解かせていました。同じことを何度も繰り返すのはコンピュータのほうが得意だからです。
その後パソコンの普及とともに、多くの学校で、熱心な先生方がBASICで自作プログラムを作り始めました。私と全く同じ考えでコンピュータを活用したいと考えたのだと思います。
ただ、当時の教育工学関係の先生方、文部省、教育委員会、通産省、マスコミなどでは、「ドリルソフトはだめ!」という一言で、なかなか我々の活動が認められませんでした。
学校の事務室に、「授業を理解できなかった生徒に対して補習をしたいので、パソコンを購入して欲しい。」と申請したら、「そのような生徒が出ないように、正規の授業をちゃんとやってください。」と言われました。
また、他校の先生方に「一緒にソフトを作りましょう。」と声をかけたところ、「そんなことしていても、教頭や校長にはなれない。」と断られたことがありました。
自費でパソコンを購入し、学校で使っていましたら、「私物を学校に持ち込んではいけません。都から監査のときは隠してください」と言われたこともありました。
幸い、私が勤めていた学校の中には協力者が多くて助かりました。放課後にコンピュータを使って補習をすることに反対する人はいませんでした。学校によっては、ある先生が新しいことをしようとすると、必ず同僚から邪魔をされるということを知っていたので、私にも作戦がありました。補習をする対象は、私が授業をしているクラス(8クラスのうち2クラス)の生徒だけでなく、全8クラスの生徒を面倒をみることにしました。あの先生は放課後に補習をしてくれるのに、私の先生は何もしてくれないというクレームが父兄から寄せられると、その担任や校長・教頭からブレーキがかかる恐れがあるからです。
全員の面倒は見られないので、学年の一斉テストで、ある得点以下の生徒を対象としていました。と言っても、生徒はコンピュータを使って自習しているだけで、私は傍についている必要はありません。職員会議に出ることもできます。その代わり、必ず、各自のノートを作ってもらって放課後の学習がわかるようにしました。私は、生徒が帰った後にノートの添削をして、次の勉強する内容を指示するだけです。その交換ノートには、勉強以外の感想が書かれていることもあります。
面白かったのは、いわゆる落ちこぼれと思われた生徒の成績が良くなると、中間層の生徒もあせって自分で勉強をするようになり、彼らも成績が上がり始めました。そうすると、上位層も危機感を感じて勉強を始めたのです。私が面倒を見たのは一部の生徒だけですが、学年全体の成績を押し上げることになりました。
なぜ落ちこぼれの生徒たちの成績が良くなったかと言うと、私のソフトや添削指導が優れていたというわけではありません。生徒たちが、自分たちの間で本当の勉強の仕方を見つけはじめたのです。
学校において、普通のCAIが効果が薄いのは、問題が共通なために誰かに答えを知られるとすぐにカンニングされるからです。
私のソフトは、同じ問題でも、基本的にはコンピュータから出される数字が違います。自分に出される問題は、自分で解かなければならないのです。放課後の学習はテストではありませんから、数人で相談しながら問題を解いていました。一人が何となく解き方が分かり、コンピュータから正解であることを知らされても自信はない。すると別に人の説明し、その生徒が同様に解いてみて正解だとわかると、お互いに喜んでいたのです。私が解き方を説明するより、同じレベルの生徒同士での情報交換が非常に有効でした。
パソコンの普及に伴い、各メーカーから、「学校にたくさんのパソコンを寄付するから、先生に使って欲しい。」という要請が来るようになりました。当時はパソコンはメーカーごとにソフトが異なり、ソフトの有無によってパソコンの売れ行きに影響があったのです。パソコンのメーカーのためにソフトを作るのは不本意なので、学校の先生を辞めることにしました。
それで作ったのが、この会社です。実質的な社員は、当時から私一人です。
他社は、文部省などからお金が出そうなソフト・学校で買ってもらえそうなソフトを開発するようになりましたが、それでも学校でのコンピュータ利用は進みませんでしたね。
インターネットが普及しはじめましたので、100校プロジェクトなどで、とにかく、学校でのコンピュータは使い始められるようになりました。
しかし、多くの人が心配しているように、子供たちの基礎力は低下する一方ではないでしょうか。学校でコンピュータを教えるのも結構ですが、今まで通りの基本的な内容もしっかり教えて欲しいと思います。
私が作っているソフトは、コンピュータの乱数を用いてたくさんの問題を作らせるものです。一斉授業に利用すると大変です。子供たちに与えられる問題は、基本的に全部違いますから、分からない子供たちがいると、先生も一緒に解かないといけません。(グループ学習ならやりやすいかもしれません。)
もともと教育ソフトというものは、個別指導に利用すると効果的だと思います。コンピュータが導入されている学校でも、先生方は今まで通りの授業をされて、放課後等で活用すると良いと思います。
私には不必要と思われるゲーム性はほとんど入れていません。そのため、非常に小さなモジュールで教材を作成してきました。指導要領が変わっても対応には時間がかかりませんし、インターネットへの移植は比較的簡単ではないかと思っています。
今後は、Javaなどで開発したソフトを無料で公開できるようにするつもりでいます
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